ベルリン
新しいベルリン中央駅 【2004年10月20日】
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 ベルリンに、超モダンな新しい中央駅が登場しようとしている。

 ベルリンの壁が崩壊する数年前の87年、東ベルリン側ではベルリン750周年を機に東駅が中央駅に改名された。駅の改名自体、旧東独政府による政治的なものであっただけに、当時、西ベルリン側では改名に強い反発があった。そいういうこともあって、中央駅というい名称は統一後、再び元の東駅に戻されることになった。

 統一後、ベルリンの都市再開発に際し、ベルリン市内の長距離鉄道網の整備が必要となる。西側のツォー駅と、東側の東駅ないしリヒテンベルク駅に分断されていた長距離列車の中心発着駅を、ひとつにまとめることになったのだ。

 そこで、そのための立地駅として白羽の矢が立てられたのが、東西国境沿いで西側にあったレールターシュタット駅だ。もともと貨物駅もあり、大きな敷地に恵まれていたことから、レールターシュタット駅をベルリンのハブ駅にする計画案は、以前から何回も持ち上がっていた。

 ハブ駅の立地場所は、決まった。だが、新駅名をどうするかという問題が発生する。オペレータであるドイツ鉄道側は中央駅にすべきと目論んでいた。ただベルリン市民からは、伝統あるレールター地区の名前を残す駅名が消滅するのはなごりおしいと、反対運動が起こった。そのため、一般公募で新しい駅名を募集することになるのだが、それで決まったのは、中心駅(Zentralbahnhof)レールター駅という名称だ。

 一時旧駅構内では、中心駅レールター駅と表示されていた。しかし現在は、ドイツ鉄道の意向を反映させてか、中央駅(Hauptbahnhof)レールター駅となっている。どういう経緯で、中心駅が中央駅になったのかは把握していないが、ここで取り上げたいのは、新しい駅舎だ。

 新しい中央駅では、東西を走る線と南北を走る線が交差する。そのため、東西線を高架線として、南北線を地下線とした。東西線では、駅ホームがガラス屋根で覆われている。ガラス屋根は鉄骨構造で、楕円の上半分を上から押しつぶしたような変な格好をしている。そのため、柱なしで構造体がぺしゃんこに押しつぶされないようにするはどうしたらいいか、設計上大きな問題となった。

 設計したハンブルクの建築家フォン・ゲルカンは、屋根のてっぺんを吊り橋のようにロープで吊り上げる工法を選んだ。そのため、屋根の両側面にサポートを取り付けてサポートの上にロープをはわせ、ロープを両側から引くことで応力を発生させた。そして、その応力で屋根全体を支えるという構造だ。しかしこの工法は、世界ではじめての試みであったことから、構造的に問題ないか、慎重な審査が必要となった。そのため、建設許認可が出るまでに長い時間を要し、結局、屋根を少し短くして施工せざるを得なくなった。そのため、ホームの一部は雨にさらされることになるが、サッカーのワールドカップが開催される2006年夏までに新駅を完成させには、他になす術はなかった。


レールター駅  レールター駅

 東西の高架線は直線ではなく、少しカープしている。そのため、ガラス屋根に張るガラス板は取り付け位置に応じてサイズが異なるほか、わずか数ミリの施工誤差が出ただけでも、ガラス板が割れてしまうなど、高度な施工技術が要求されたという。

 もうひとつのポイントは、高架橋を支える構造体である。高架橋は鉄筋コンクリート製の柱で支えるのが普通だが、新駅の高架橋は鉄骨製の支柱で支えられている。これも、世界では珍しい試みだという。そのため、支柱にはたくさんのセンサーを取り付け、高架線上を重しをのせた列車を走らせるなどして、振動検査が行われている。

レールター駅

 東西を走る高架線は、一部の線路がすでに通過できるようになった。都市鉄道Sバーン用のホームは、すでに仮設だが駅の機能を果たしている。長距離列車用のホームはまだ完成しておらず、列車は停車しないまま通過するだけとなっている。それに対して南北線の走る地下では、2006年夏の竣工を目指して、工事が急ピッチで進められている。

 ガラス屋根の南側には太陽電池が組み込まれているほか、自然の光が地下ホームにまで達するように工夫されているなど、環境面の配慮も見られる。

 新中央駅はすでに巨大な勇姿を現わしており、ベルリンの新しい顔として君臨しはじめようとしている。【fm】




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