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【キーワード】ドイツIT分野での国外アウトソーシング 【2005年4月6日】

 IT分野での国外アウトソーシングは、英米の十八番(おはこ)という感がある。英語という共通言語があれば、カスタマーサポートのためのコールセンターをインドに設立することも容易。そしてソフトウェアの開発も豊富で安価な労働力は、コストダウンに大いに貢献する。
 それに対し大陸ヨーロッパの工業国は、アングロサクソンの後塵を拝している。それでもここ数年、大企業を中心に国外へのアウトソーシングも観察される。コストダウンにおいて遅れを取らないためには、国外へのアウトソーシングの利点を大いに活用すべきだとの声も上がっている。
 ここでは、ドイツでのIT分野の国外アウトソーシングを調査する際のキーワードをいくつか紹介する。【長嶋】



Outsourcing, Offshore-Outsourcing, Offshoring, Nearshoring(アウトソーシング、国外へのアウトソーシング、国外アウトソーシング、近隣諸国へのアウトソーシング)
 「アウトソーシング (Ooutsoucing) 」は、国外へのものとは限らない。国内のアウトソーシングと国外へのそれを区別するのに、ドイツでは、後者を「オフショア−アウトソーシング (Offshore-Outsourcing)」ないし「オフショアリング (Offshoring)」と呼ぶことが多い。ドイツの場合、国外へのアウトソーシングといっても、中国やインドといった遠方へのアウトソーシングと近隣諸国へのそれは事情を異にする。後者のことを「ニアショアリング (Nearshoring)」と呼ぶが、ドイツにとって「ニア(近隣)」とは、ポーランド、チェコ、ハンガリーといったEU新加盟諸国を指すことが多い。言葉の壁(後述)に加え、アジア諸国との文化的な違いは、インド、中国などへのアウトソーシングを躊躇させる原因になっている。インドのIT サービス企業の中には、EU新加盟国にショーウィンドウ的な企業を設立するものもある。

Niedriglohnland / Niedriglohnländer, billigeres Ausland(低賃金国(単数系/複数形)、安い外国)
 「低賃金国 (Niedriglohnland)」は、説明の必要がないだろうが、「(賃金が)安い外国 (billigeres Ausland)」のことである。モNiedriglohnlandモは、通常の辞書に載ってない単語だが、Niedrig-Lohn-Landをそのまま漢字に置き換えると「低・賃金・国」となり、ドイツ語と(訳語としての)漢語の造語能力の近似が感じられて面白い。閑話休題。低賃金国とは、ドイツにとって中国、インドの他にEU新加盟国を指す場合が多い。スペイン、ポルトガルもドイツから見れば低賃金なのだが、IT分野のアウトソーシングが問題になるときには、あまり顧みられていないようだ。ポーランド、チェコ、ハンガリーは、インドや中国と比較すれば、それほど低賃金でもなく、「ヨーロッパレベル」なのだが、ドイツには、低賃金の他に、近さが安心材料になるようだ。近さは、空間的な近さばかりでなく、文化的な近さでもあり、それはドイツの中東欧への進出の歴史を見れば当然か。IT分野という現代・未来産業に「歴史」が顔を出すのは興味深い(cf. Nearshoring(上述))。

Aussiedelung, Arbeitsplätze wegfallen, exportierte Arbeitsplätze, Arbeitsplätzeverlagerung((強制的な)移住、雇用の喪失、輸出された雇用、雇用の移転)
 国外へのアウトソーシングの是非が問題になるとき、それとほぼ同時に問題にされるのが雇用の問題。Arbeitplatz / Arbeitsplätze は、「雇用」と訳すことが多いが、これはなかなか訳しにくい単語。本来は、「Arbeit(労働)」+「platz(場所/席)」なので、「職場」でもあるのだが、日本語で「職場」というとオフィスや工場といった「働く場所/施設」、つまり労働する人間が属する場所というイメージがある。それに対し、ドイツ語では個々人の仕事のための机と席のイメージに近い。「ポスト」と訳しとイメージ的にはふさわしいだろう。日本人は、自分が属している企業からの追い立てられることを問題とするが、ドイツ人は、ドイツ人を雇用する機会が失われることを問題とする。「ポスト」が、業務の国外アウトソーシングによってドイツ国内で失われるとなると、議論はしばしば感情的にさえなる。個々人のポストが、国外に移転させられる、持って行かれる (Aussiedelung) となると、失業率の上昇に喘ぐドイツ社会、そして政治は過敏に反応せざるを得ないというのもわかる。国外の安い労働力を利用したことで、かえってドイツの IT産業が活況を呈し、新たな市場を獲得し、国内に新たな雇用が送出されると期待する見解も一部には存在する。

Sparzwang / Sparzwänge, Einsparpotenzial(コスト節減の必要性(単数形/複数形)、節減の余地)
 グローバル化 (Globalisierung) は、容赦なく進む。IT分野は、例外でないどころか、むしろ進みやすい分野であるといえるだろう。データを運ぶのに、鉄道も道路もパイプラインもいらない。電話線があれば、あるいは中継基地さえあれば無線でも運べるのはご承知の通り。そうなれば、ドイツの企業の競争相手は国内やヨーロッパ、工業国の企業とは限らない。ライバルが、安い労働力を使用するなら、競争に勝つためには、IT 予算 (IT-Budgets) の節減ポテンシャル/余地を多いに活用しなければならない。隣の国の賃金や安ければ、業務は隣国に流れる。Spar-Zwang の Zwang(ツヴァング)は、心理学でおなじみの用語。自分がしたくなくても取り憑かれたように何かをしてしまう現象。ドイツの IT 分野のコスト削減 (Spar) もそれに似たところがある。取り憑いているのは「グローバル化」に違いない。

Sprachproblem, Call-Center-Dienstleistung(「言葉の壁」、コールセンターサービス)
 国外へのアウトソーシングの典型な例としては、コールセンターが挙げられるだろうか。ユーザーからの質問への対応は、人間に頼らざるを得ない。ただこれを国外に移すとなると、どうしても「言葉の問題 (Sprachproblem)」、つまり「言葉の壁」が障害になる。英語なら、多少のアクセントが違っても英語を母国語、公用語とする国がアウトソーシング先の候補地となるが、ドイツ語の場合はやはり難しい。訓練すれば何とかなると期待されることもあるようだが、機械でできないことをやっているのだから、マニュアル通りにやれるわけではない。航空会社なら英語での問い合わせ、予約の変更への対応に使えるかもしれないが。ドイツ人にも英語を得意とする人は多いが、お客の立場で外国語を話したいとは思わないだろうし、わからないことを質問するのに母国語でない言葉で質問するのはやはり難しい。

personalintensiv, Softwareentwicklung(労働集約的、ソフトウェア開発)
 コールセンターと同様に、システムやソフトウェアの開発は、人手に頼らざるを得ない、そして労働集約的な業務の一つだ。ただしこちらは、コールセンターほどには、言葉の壁は高くない。規模の大きなプロジェクトでは、国外へのアウトソーシングによるコスト削減が期待できる分野だろう。事実、シーメンスといった大企業は、すでにインドへの進出を果たし、かなりの成果を上げている。しかし一方で、ドイツの企業がインドの企業に業務を委託しようとすれば、企画の段階、そしてその変更、修正の際にはコミュニケーションが不可欠。ワークフローが確立していないような場合には、やはり言葉の障害は大きい。そのため、最近ではドイツの中小企業は、自らのアドバンテージに関して自信を強めている。

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