ドイツ
ハンブルク国際見本市 - H2Expo 水素・燃料電池テクノロジー展
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会場全景

03年10月9 - 11日、ハンブルク・メッセ(国際見本市会場)において、水素と燃料電池テクノロジーを紹介する専門見本市が開催され、我々BMKも視察に訪れた。そのときの模様をここに紹介する。



参考:www.h2expo.de

国際専門見本市:水素と燃料電池テクノロジー (International Trade Fair for Hydrogen and Fuel Cell Technologies)

この専門見本市が開催されるようになって、今回で3回めということだが、ドイツ政府は、水素燃料を次世代の自動車用燃料と期待しており、このクリーンで天然資源に依存しない燃料、そしてその応用技術には経済・産業界をはじめ、社会全体が注目している。

ホール一つに収まる会場は、比較的小規模ではあるが、水素、燃料電池をテーマとした展示会はヨーロッパ唯一とあって、ヨーロッパ諸国をはじめ、北米やアジア諸国からの出展者、参加者が集った。

期待される未来のエネルギー源

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最も有力視される応用例:自動車

水素。この元素は、酸素と並んで人類にはなじみが深い。水素と酸素が結合して水が出来るというのは、中学生でも知っている。燃えやすいこの物質をエネルギー源として利用することは、誰もが考えることだが、その実用化はそれほど簡単ではない。

燃料としてではないが水素を利用して浮力を得ていた戦前の飛行船の爆発事故、スペースシャトル・チャレンジャー号の空中での大爆発。水素の利用はいつも危険と隣り合わせだった。

しかし燃料としての水素は、そこに貯えられるエネルギー量でも、有害な排気ガスを出さないというクリーンな性質でも、さらにはやがて枯渇する石油に依存しないという点でも未来のエネルギー源にふさわしい。

現在、最も期待されている利用法としては、自動車燃料としての応用がある。水素燃料タンクの設置スペース、水素補充施設、公害対策の面で、市内近距離交通での利用が有望視され、ハンブルク市でも試験的利用が始まっている。写真のバスは、ハンブルク市内を走るもの。後部からの排気は、水素と酸素が反応して出来る水蒸気だが、少しばかり木炭バスの雰囲気が漂う。

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木炭バスを思わせる「排ガス」

水素の漏れを監視する技術

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検査・監視機器

夢の燃料:水素には、弱点がある。扱いが難しいというのがのはその一つだろう。無色・透明で無臭、そして分子は小さく検出が難しい。ひとたび監視を怠ると大事故に繋がってしまう。

左の写真は、そのような水素の弱点を、独自のセンサー技術で克服すべく、水素検出器リークディテクターを展示していた企業。開発はスウェーデンの SENSISTOR Technologies AB (www.sensistor.com) によるものだが、日本と韓国に代理店(日本:F&A Technology Co., Ltd.、韓国:Jeseong Engineering Co., Ltd.)があり、すでに様々な分野で利用が開始されている。

新時代のエネルギーは、それにふさわしい安全技術があって初めて現実のものとなる。利用する側には、危険を隠すのではなく、絶えず監視し管理する覚悟が求められる。

水素を貯蔵する

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水素貯蔵法として

水素燃料は、通常は液体の形で貯蔵、輸送される。そしてそれをタンクに貯蔵するには高圧のコンプレッサーが必要となる。高圧となればそれだけタンクを堅牢に作らなければならず、それはタンクの重量増加につながり、エネルギーの効率を低下させかねない。これは軽量合金製タンクの周りにカーボンを巻くなどの方法で対策が講じられるが、高圧にともなう危険性はいつも付きまとう。

左右の写真は、水素吸蔵合金を利用した貯蔵を提案するJSW日本製鋼所 (www.jsw.co.jp) のブース(左)とその製品群(右)。これによって低圧・小型タンクでの水素貯蔵が可能になる。貯蔵ユニットの設置場所が限定され、ポータブル性能が求められる装置への利用が期待されている。

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金属で水素を貯蔵

会場を後にして

水素の貯蔵、利用、生産、監視・管理など、様々な方面からの技術紹介があったが、水素燃料はその単独での利用ばかりではなく、他のエネルギー同士の結節点の役割も期待されている。

風力、太陽光など自然のエネルギーを利用した発電装置は、将来、一層の増加が予想されている(ちなみにドイツの風力発電量は、現在世界一となっており、現政権は、2030年までにドイツ全土の電気消費量の25%を風力発電で賄おうとの計画を持ってい る)。しかしこれらのエネルギーの弱点として、自然に左右され、必ずしも必要なときに必要なだけ発電するということができないということが挙げられる。その調整役として、水素燃料が期待されている。つまり風や太陽光を利用して発電した電力のうち、あまった分を、水素の生産に向け、水素燃料をいわば電気の貯蔵庫としようというもの。通常では保存できない電気のダムというわけだ。

ダイムラークライスラー社が開発中の燃料電池自動車のように、実用化を目前に控えたものから、利用方法、コンセプト作りがスタートしたばかりのものまで、水素燃料には様々な用途・期待が寄せられているが、未来エネルギーの一角を占めること、産業・経済への波及効果が期待されることだけは確かなようだ。

我々BMKは、今後も水素燃料、燃料電池の発展を見守っていくことにしたい。【長嶋】



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