社会/環境
サルファーフリーなのだ 【2004年10月30日】
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 日本では、2005年1月から硫黄分が10ppm以下の超低硫黄ガソリン・軽油が出荷される。これに関連して、日本のメディアは、超低硫黄ガソリン・軽油が全国で普及するのは日本が初めてで、英国やドイツでは試験的に出荷されているにすぎない、と報道した。世界最高品質との売り込みだ。しかし、この報道は間違いである。



 ドイツのガソリンスタンドでは現在、ほとんど硫黄分10ppm以下の超低硫黄ガソリン・軽油しか給油できない。ドイツで初めて、硫黄分10ppm以下の自動車燃料が出荷されたのは、2000年5月であった。この時は、シェル製のガソリンだけで、ドイツ西部のノルトライン・ヴェストファーレン州など一部の地域だけで販売されていた。その後2001年末からは、オクタン価(リサーチ法)98以上のスーパー・プラスと呼ばれるハイオク・ガソリンで超低硫黄ガソリンが全国で販売されはじめた。その他のガソリン・軽油も2002年末から全国に出荷され、ドイツの石油精製・元売り業界団体によると、2003年からは硫黄分10ppm以下の超低硫黄ガソリン・軽油しか出荷していないという。

 ただ、超低硫黄ガソリン・軽油の普及には地域差があったらしく、ベルリン市の管轄当局の話では、ベルリンで自動車燃料のほとんどが超低硫黄ガソリン・軽油になったのは、2004年はじめからだという。

 いずれにせよ、超低硫黄ガソリン・軽油が全国で普及するのは、日本が初めてではないわけだ。

 EU域内では、2003年3月の指令によって、2005年1月からサルファーフリーと呼ばれる硫黄分10ppm以下の超低硫黄ガソリン・軽油を出荷しはじめなければならず、2009年1月からはサルファーフリーのガソリン・軽油しか出荷できなくなる。ドイツ国内でも、EU指令の要求と同じ内容で規制が強化された。

 しかし、ドイツは法的規制を前倒しで実現してしまった。それはなぜか?。ここでは、政府のインセンティブによるところが大きいといわざるを得ない。政府は90年代後半からガソリン・軽油の脱硫化で関連業界と協議していたが、こうした高品質のガソリン・軽油を普及させるため、税制上の措置を講じてきた。2001年11月からは硫黄分50ppm超の低硫黄ガソリン・軽油に対して鉱油税(日本の揮発油税に相当)を1リットル当たり3ペニヒ(約1.5円)追加課税し、硫黄分10ppm超の超低硫黄ガソリン・軽油に対しては2003年1月から鉱油税を1リットル当たり1.53セント(約2円)引き上げている。

 おもしろいのは、消費者がガソリン・軽油の脱硫化にはほとんど気付かなかったということだ。これは、石油業界が税制上の優遇措置を利用して自主的に”安価”で高品質のガソリン・軽油を出荷してきたからだ。ここでは、講じられた税制上の措置が超低硫黄ガソリン・軽油の出荷によって政府側にも石油業界側にも損にならないという点が味噌。もちろん、石油業界側は脱硫装置などの改造に投資負担を負ったわけだが、環境規制の中では実現しやすかった事例といえる。

 なおガソリン・軽油に含まれる硫黄分は、自動車の排出ガス浄化装置の触媒の機能低下を招き、大気汚染の要因となるため、脱硫化が望まれていた。【fm】




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