bmklogo.jpg
akabar.jpg

社会/環境
Google
Web  bmk





「パシーフハウス (Passivhaus)」は売れてない? 【2006年11月1日】

 9月26日付けのドイツの新聞ハンデルスブラット紙 (Handelsblatt) に「新しい一戸建ては排出を削減する (Neue Eigenheime reduzieren Emissionen)」という記事が掲載された。最新の省エネ住宅は、エネルギー消費の削減、したがって二酸化炭素の排出削減に貢献する。しかし法律や助成策それに昨今のエネルギー価格の上昇により省エネ住宅への需要は期待できるものの、全ての省エネ住宅の売れ行きが必ずしも良いわけではない、という内容だ。
 とくに省エネ住宅の中でもその模範とも言うべき「パシーフハウス (Passivhaus)」は、販売で苦戦しているという。


 「パシーフハウス (Passivhaus)」とは、従来の省エネ住宅を発展させたもので、太陽光の熱を積極的に利用し、断熱等を徹底させ、通常の暖房装置は使わずに、ヒートポンプをのみで一年中快適な室温を実現するもの。ただの省エネ住宅ではない。ドイツでの最初の例は1991年(ダルムシュタット・クラーニヒシュタイン (Darmstadt-Kranichstein))に遡り、2006年には国内で約6000戸が存在する。
 しかし太陽光以外のエネルギーを全く使用しないという訳にはいかず、パシーフハウス研究所 (Passivhaus-Institut)(ダルムシュタット)は、その省エネ基準を以下のように規定している。
・年間暖房需要 ≤ 15 kWh/m2
・暖房負荷 ≤ 10 W/m2
・気密性:n50 ≤ 0.6/h
・年間一次エネルギー消費 ≤ 120 kWh/m2

 ドイツと言えば「環境の国」で再生可能エネルギー(クリーンエネルギー)を積極的に利用している国というイメージが強い。そして二酸化炭素削減の努力は、発電や生産、交通分野ばかりでなく、総排出量の20%あまりに達する一般家庭にも向けられているというのは紛れもない事実。そのための法律が、2002年に省エネルギー法 (Energieeinsparverordnung (EnEV)) として発効し、連邦政府は建物のエネルギー的改修のために2009年までに40億ユーロを投じることになっている。
 省エネ住宅新築(年間暖房油消費量が4ないし6リットル以下)への助成は、復興金融公庫 (KfW) から低利融資が行われている。

 そのような助成金に加え、近年の石油価格の高騰を考えるとパシーフハウスブームが来てもおかしくはないのだが、ドイツ国内で新築される年間25万軒のうちパシーフハウスはわずか1000棟のみ。全体の1%にも及ばない。
 売れない原因は、やはりその価格の高さのようだ。パシーフハウスの価格は、通常の一戸建てに比べ25%も高い。ドイツの住宅購入者は、助成制度があり、燃料費が高いと言っても、パシーフハウスの高価な換気装置よりは、暖房温度を低くして寒さをしのぐ方を選ぶようだ(前掲新聞記事)。

 再生可能エネルギーによる発電では、助成制度(再生可能エネルギーで発電された電力の買い取り価格設定と買い取り義務)によって一定の成果を収めたドイツだが、パシーフハウスの普及にはそれに特化した助成制度が必要ということだろうか。現在KfWの低利融資による「パシーフハウス」への助成は、「省エネ住宅40 (Energiesparhaus 40)」(年間暖房油消費量が4リットル以下)と同一カテゴリーになっている。

参考リンク
パシーフハウス研究所 (Passivhaus-Institut)(ダルムシュタット)
省エネルギー法 (Energieeinsparverordnung (EnEV))について(連邦交通・建設・都市開発省)
復興金融公庫 (KfW) による省エネ住宅新築助成
「パシーフ(=受け身)」とは?

up

【関連記事】


広告/スポンサー
Copyright © forum bmk All rights reserved