ドイツ
ドイツ人の顔【2004年9月13日】

自動撮影機
 最近、必要があって証明写真を撮ってもらった。とは言っても写真館で撮ってもらうのでなく、街角の自動撮影機を使っての撮影。最近のものは、機械がデジタル化されているのか、かなり精度の高い写真画像が期待できる。一度撮影したものが気に入らなければ何度でもやり直してくれる。日本でも同じだろう。ドイツの証明写真用の機械が「プリクラ」撮影機も兼ねているのはご愛嬌だが、それはこの記事のテーマではない。
 自動撮影機の中に入り、カーテンを引いて椅子の高さを調整し、コインを投入。私の使ったものは4ユーロのかかる。紙幣は受け付けてもらえず、料金は硬貨のみというのもドイツらしいが、それも今回のテーマではない。
 コインを入れ終わり、証明写真モードに設定するとハーフミラーになった前方のスクリーンの中に、楕円形が表れる。その中に顔が入るようにしろという指示のようだ。高さは椅子を調整すれば何とかなるが、横位置がちょっと難しい。なんとか楕円の中に顔を納めようとすると、横にずれることになり変な姿勢になる。椅子の真ん中に普通に座るとスクリーンには正面が映らずちょっと斜めになっているようだ。自分の姿勢に自信があるあるわけではないので、腰をずらしたり、顔の向きを変えたりと悪戦苦闘。この機械、壊れてる?。
 試行錯誤すること数十秒。もしかして・・。この機械、ドイツ人用なんだ!と思いつく。
 そう納得すると、斜めに映った顔をそのまま撮影して外に出る。撮影見本に写っているお姉さんも、その笑顔は斜に構えている。自分の理解が正しかったことがわかって安堵。自分の顔もサンプル写真のように笑顔になる。
 この斜め撮影が、ドイツそしてヨーロッパの証明写真のスタンダード。そういえばドイツ人の友人の旅券にもやはり斜め撮影の笑顔が貼付けられている。日本では正面脱帽が普通だから、それに比べると異様に感じるが、西洋人の顔を観察すると斜め撮影の意味がわかる。
長嶋伸一
著者近影
(自動撮影機にて撮影)
 そばに西洋人がいたら椅子にでも座らせて上から頭の形を見て欲しい。日本人の頭を円形とすると、西洋人のそれは前後に長い楕円。したがって正面の顔に加えて、横顔にも顔の特徴が出ている。正面からの撮影だけではその個性を十分には組み尽くせない。そこで芸能人のブロマイドのような斜め横顔の証明写真となるわけだ。なるほどね。
 ナチ時代には骨相学というえせ学問が盛んで、この西洋人の頭の形を優生の証としていたようだ。どんな根拠があるのか知らないが(おそらくこじつけ)、西洋人、ドイツ人の顔の奥行きが深いということは確かなようだ。【長嶋】

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フリーランスのリサーチャー、翻訳者、通訳者
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