ドイツ

国際見本市:住宅建設と国内外不動産展

(Messe für Hausbau, In- & Auslandsimmobilien)

2003 年10月25–26日、ベルリン国際見本市会場で住宅販売と住宅建設をテーマとする見本市が開催された。26日、住宅を購入するつもりはないが、近所での 開催とあって BMKも視察に訪れた。そのときの模様をレポートする。

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住 宅市場

ド イツの一戸建て住宅市場では、省エネ住宅がブームになっている。太陽光を発電や給湯に利用するといった積極的な省エネばかりでなく、壁や屋根に断熱材を入 れるなど、エネルギー、特に熱の効率的利用を唱い文句にする住宅を良く見かける。冬の寒さが厳しいドイツならではだが、倹約と環境への配慮を重んじるドイ ツ人の心をつかむには、これ以上のものはない。

写 真は、省エネ住宅の宣伝ポスター(左)と断熱材(右)。

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住 宅設備

1.セントラルクリーナー

こ の見本市には、住宅だけではなくその設備の出展も見られた。左の写真は、集中排塵方式の掃除機(セントラルクリーナー)を展示していた企業(www.staubsaugeranlage.de) で、説明に立つニッツェ(Nitze)氏は日本への輸出にも積極的。セントラルクリーナーとは、大型の掃除機を戸外や地下室に設置し、各部屋にはその室外 機から壁や天井、床下を伝う管を通し、その先に吸塵口をつけるというもの。掃除機が戸外や離れた場所にあるため、排気によって室内の空気を汚すことも室内 で騒音を立てることもない。大型住宅には理想的な掃除機だが、日本ではあまり普及していない。日本での普及が進まないのは家屋の部屋数との関係もあるが、 壁や天井裏にスペースの残る日本の木造住宅の方が、配管にはむしろ向いている。

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2.吸湿器

ド イツの気密性の高い住宅では、湿気防止は至上命題。左の商品は、静電気を利用して室内の湿気を除去する製品:AQUAPOLを展示していた企業 (www.aquapol.de) 。運用にあたっては電気等、エネルギーは不要だということ。

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気 密性検査器

室 内を湿気と寒気から守るには、気密性に配慮する必要がある。すきま風は許されない。左の写真は、気密性が保たれているかを検査する装置。壁の隙間はもちろ んのこと、電気のコンセントまでを調べるという徹底ぶりには、さすがはドイツと感服。展示企業は、気密性維持、防湿のための商品も扱っている (DlowerDoor-Prüfung)。

会 場を後にして

家 を建てるなら夏を考えて作れというのが日本の住宅建設の伝統的コンセプト。高温多湿の日本では、通気性を保ち、室内に熱気がこもらないように家を建てるの が良いとされて来た。また台風や地震と自然災害に頻繁に見舞われる日本では、コストのかかる重厚なつくりはむしろ敬遠される傾向がある。『三匹の子豚』の 寓話なら、藁や木で作るのが日本の住宅建設だろう。壊れたらまた建てる。夏をしのげば冬の寒さは耐えられる。レンガなんかで作っていては、完成する前に狼 が来て食われてしまう。そんなところだろうか。

そ れと全く反対の建築コンセプトが、ドイツにはある。地震のないこの国では、住宅は何代にもわたって利用するのが常識。現代の住宅でも手入れさえ怠らなけれ ば半永久的な利用が可能だ。建て方も冬を考えて設計され、それが居住性を高める。この国では、冬の寒さこそ「狼」なのだ。

で は日本は日本、ドイツはドイツということだろうか。そうではあるまい。鉄筋コンクリート、冷暖房装置の普及は、日本での建築に新たな課題を突き付けてい る。夏の冷房では結露が建物を傷め、冬の暖房では通気性のよい構造はエネルギーの浪費に繋がる。伝統は重んじられるべきだろうが、現代の日本はドイツの建 築技術、建築コンセプトをもっと参考にするべきだろう。

「住 はドイツに学べ」。BMKはそう提案する。【長嶋】

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