会 場を後にして
家 を建てるなら夏を考えて作れというのが日本の住宅建設の伝統的コンセプト。高温多湿の日本では、通気性を保ち、室内に熱気がこもらないように家を建てるの が良いとされて来た。また台風や地震と自然災害に頻繁に見舞われる日本では、コストのかかる重厚なつくりはむしろ敬遠される傾向がある。『三匹の子豚』の 寓話なら、藁や木で作るのが日本の住宅建設だろう。壊れたらまた建てる。夏をしのげば冬の寒さは耐えられる。レンガなんかで作っていては、完成する前に狼 が来て食われてしまう。そんなところだろうか。
そ れと全く反対の建築コンセプトが、ドイツにはある。地震のないこの国では、住宅は何代にもわたって利用するのが常識。現代の住宅でも手入れさえ怠らなけれ ば半永久的な利用が可能だ。建て方も冬を考えて設計され、それが居住性を高める。この国では、冬の寒さこそ「狼」なのだ。
で は日本は日本、ドイツはドイツということだろうか。そうではあるまい。鉄筋コンクリート、冷暖房装置の普及は、日本での建築に新たな課題を突き付けてい る。夏の冷房では結露が建物を傷め、冬の暖房では通気性のよい構造はエネルギーの浪費に繋がる。伝統は重んじられるべきだろうが、現代の日本はドイツの建 築技術、建築コンセプトをもっと参考にするべきだろう。
「住 はドイツに学べ」。BMKはそう提案する。【長嶋】
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