出発
ICの車内
ICの車内の様子
 特急列車(IC)の切符は当日、駅で購入し、10時4分初の列車に飛び乗る。席は予約しなかったが、新幹線列車(ICE)や特に混む時期でもない限り、ドイツの鉄道で席がないということはまずない。それは長距離列車でもローカル列車でも変わらない。こんなにガラガラで、どうしてもっと車両数を減らさないのかと日本人は不思議に思うかもしれないが、ドイツ人にはそれでも混んでいると感じることがあるらしい。隣の席が道連れでもない人で埋まっているというのは、ドイツ人には普通でないらしい。この辺りはドイツ人と日本人の空間に関する意識の違いだろう。
 乗り込んだ列車は、朝の6時半にバルト海に面するシュトラールズントを出発し、ベルリン、エアフルト、カッセル、エッセンを経由し、ノルトライン・ヴェストファーレン州の州都デュッセルドルフまで、半日をかけて北ドイツを横断する。新幹線の走らない路線を補完する列車のようだ。
ザクセンの小邑
広々としたザクセンの農村風景(車窓より)
 ベルリンからハレ、ライプツィヒ方面へ向かう列車は、殺伐とした工業地帯の中を通るが、ナウムブルクに近づくとやや切り立った丘が目につくようになる。線路に沿って流れるイルム川が削り出した景観だろう。東部ドイツもこの辺りまで南下するとワイン生産が可能になり、南に面した丘の斜面にはぶどう畑が見える。ナウムブルクから少し北上したところにフライブルク(南西ドイツのそれFreiburgとは異なり、Freyburgと綴る)はこの辺りのワイン生産の中心地にあり、フライブルクワインは美味だと聞いている。生産量が少ないのかベルリンではみかけない。
ナウムブルク近くのワイン山
ナウムブルク近くのワイン山(車窓より)

 チューリンゲン州の州都エアフルトには13時20分の到着。エアフルトは、一昨年高校中退者による銃乱射事件のあった都市として世界中に有名になった。落ち着いたドイツの地方都市だったが、この事件によりドイツの教育制度問題が露呈した観がある。【2004年2月25日】【長嶋】