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邸宅街アルゼン【2004年4月21日】
ヴァンゼーのヨットハーバー
ヨットハーバーを眺めながら邸宅街へ

 ヴァンゼー駅から邸宅街へ至る道の途中には、いくつものヨットハーバーが並ぶ。ヴィレンコロニー(邸宅街)アルゼン(Alsen)は、邸宅街としてはベ ルリン周辺では最も古い。1863年に枢密顧問官ヴィルヘル・コンラート(Wilhelm Conrad)が、320モルゲン(約80ヘクタール)を購入し、プロイセン、オーストリアの対デンマーク戦争での勝利を記念して「アルゼン」と名付けたの が始まり。アルセンとはデンマークの地名でその戦争の故地。愛国者であったコンラートが戦勝を記念してそのように名付けた。1874年には、ヴァンゼー鉄 道(現在のSバーン1号線)がベルリン市街とヴァンゼーの間で開通し富裕層が邸宅、特に夏の別荘を建て始めた。ジーメンス家、生理学・物理学者ヘルムホル ツ、リーバーマンが対抗した宮廷画家アントン・フォン・ヴェルナーもここに邸宅を構えた。
 邸宅街、リーバーマン邸までの行き方は本文を参照。

庭の風景(ヴァンゼー側)
リーバーマン邸の庭(湖側)

 邸宅の湖側の庭には白樺がはえ、水辺にはボートが着けるようになっている。リーバーマンはこの庭で家族や風景を題材に多くの作品を残している。
 対岸にはヴァンゼーの湖水浴場を望む。リーバーマンがこの土地を購入したのは1909年。その2年前に湖水浴場がオープンしているが、こちらは庶民的な行楽地。ヴァンゼーを挟んで階級が向かい合っている。
庭の風景(山側)
リーバーマン邸の庭(道側)

 アム・グローセン・ヴァンゼー(Am Groen Wannsee)通り側の庭は、花壇が設けられ、春から夏には色とりどりの花が咲く。苦悩に満ちたリーバーマンの晩年、ナチスが台頭し家族が所有権の譲渡を余儀なくされ年の夏にもこのように咲いていたのだろうか。
休憩にはお菓子とコーヒー
アップルケーキとコーヒー

 ドイツの歴史を考えると陰鬱な気分にもなるが、ケーキでも食べて少し頭を冷やすのも良いだろう。セルフサービスの喫茶コーナーでコーヒーとケーキをもと め、庭の見える部屋、テラスにおかれたテーブルで休憩も取れる。アップルケーキは、リンゴがたっぷりと入っていて美味しい。自家製なのだろうか。

ヴァンゼー会議会場の館
ヴァンゼー会議の館

 リーバーマン邸から歩くこと数分、この館に至る(Am Groen Wannsee 58)。
 ドイツの歴史を考える上で避けては通れないのがナチスの問題。この館はその最大の罪の一つであるユダヤ人絶滅について方針を確認したという館。リーバーマン邸を設 計したパウル・バウムガルテンの作。1940年に持ち主が商法違反に問われ、ナチス(SS)の手に渡った。会議は、1942年1月にここで開 催されている。1988年以降、記念館となり、往時のように修復され、1992年に記念館としてオープンした。

フレンスブルガー・レーヴェ
フレンスブルガー・レーヴェ(フランスブルクのライオン)

 会議場となった館に隣り合ってこのライオン像が置かれている。
  19世紀の半ば、シュレスヴィヒとホルシュタインの帰属をめぐって、ドイツとデンマークは対立していたことは高校の歴史の教科書にも書かれている。 イトシュタット(Idstadt)でのデンマーク軍の戦勝(1850年)を記念して、当時はデンマーク領となっていたフレンスブルク(現ドイツ)にこのラ イオン像のモデルとなった像が建てられた。1864年にプロイセンとオーストリアの連合軍がデンマークに勝利し、戦利品としてそのライオン像がベルリンに 持ち込まれた。
 この像は、1865年にアルゼン邸宅街の創始者であるコンラートが、そのオリジナルをコピーさせ、邸宅街の中にあったライオン公園に設置されていたも の。オリジナルはベルリンのリヒンターフェルデに置かれていたが、1946年、ドイツを破った連合軍がデンマークに返還し、ドイツにはこのコピーだけが 残った。1938年よりこの場に設置されている。

レストラン
ライオン像の周辺

 ライオン像が設置されている周辺は、眺めの良い岬になっており、立食のスタンドやカフェー、レストランがある。邸宅街はここで終わっているが、湖沿いのプロムナードはさらに続く。ゆっくり見学、散策を楽しみたければ像の置かれた広場に隣接してホテル:Haus Sanssouci(サンスーシ荘)(Am Groen Wannsee 60)もある。2004年の春の宿泊料金は朝食付きでシングル52ユーロ、ツイン82ユーロ。
参考文献:
Landesdenkmalamt (LDA) Berlin u. L&H Verlag (hrsg.), Berlins unbekannte Kulturdenkmler. Hamburg 2003.

【2004年4月20日】【長嶋】

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bmk Berlin
フリーランスのリサーチャー、翻訳者、通訳者
bmkberlin.com

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